サハラマラソン完走マニュアル
マメとレース対策
マメとロキソニン。マメが出来ると出来ないとでは天国と地獄です。僕の場合は左右合計8個できました。左右均等にできたので体幹バランスは良いみたいです(笑)
痛み止め(ロキソニン)をラムネ代わりに飲みまくり、今思えばこれが食事を受け付けなくなった原因かと思います。カロリーメイトを半分食べるのに3分もかかるほどでした。水で流しこみましたが吐いてしまう。
米は真っ先に食べれなくなりました、米粒が重すぎるのです。唯一食べれたのはカップヌードルのスープやドライフルーツ。ニンニクの醤油漬け(日本から持って行った)とペペロンチーノ。
ニンニクは疲れ切った身体に効きますね。ピラミッドの建設に携わった方たちはニンニク食べながら頑張ったらしいですが分かる気がします。
食事が一番つらかった
サハラで一番辛かったのは何?と聞かれると、マメの痛みも辛かったですが、一番は食事でした。繰り返しますがマメができなければ痛み止めを飲む必要もなく、そうなると食事をここまで受け付けなくなる事も無かったと思われるのです。諸悪の根源はマメですな。たぶん。
メディカル
メディカルテントに行くと足の状態を見られて2つのレベルに分けられます
- 自分でなんとかしろレベル。治療キットを手渡されて後は自分で治療です。ミニナイフや消毒液、絆創膏などが入ってます。
- メディカルテント送り。写真のような感じです。野戦病院みたいです・・・見ているだけで痛くなってきます。
チェックポイントを利用するか、通過するか
これは意見が別れるところです。
チェックポイントで休憩する
靴を脱ぎベビーパウダーをかけておく> マメ対策、マタズレ対策にぜひ。ビニール袋に詰め替え、小型のパフを入れておこう。足、股、脇の下などにふりかけておく。(股ずれなど最悪です)
- ワセリンはダメです。砂埃が付着する。
- 事前のテーピングは試してないので不明です。
ちなみに足の裏や指などを日焼けしておくとマメは出来にくいという都市伝説がありますが真偽のほどは不明です。
靴下を毎回新品に取り替えたいなといつも感じました。1日4枚として20枚くらい用意し、終わったものは捨てて行く(エコじゃないけど)僕は2枚の靴下を洗濯して使ってましたが、汚れは完全に落ちなくてこれが靴の中で雑菌の元になってたみたいです。マメの原因でもあります。
チェックポイントで休憩しない作戦
休憩せずに通過する作戦は大いにありです。どうせ日差しを遮るスペースは空いてませんし、一度腰を下ろすとケツに根が生えます。
スタートから最後まで走らない!と決めて、ひたすら歩き続けます。ギネス記録(30日で2,000kmを走った高橋さん)も一切走らずに、それでいて夕方にはゴールしてゆっくりと身体を休めてました。
靴下は交換できないので良質のウールの靴下が良いのかも知れません。
コースミス 迷子
イタリア人の警察官 Mauro Prosperi が砂漠の嵐で道を見失い、砂漠を10日間(後半5日間は遊牧民により保護)さまよい、13kgも体重を落としてしまった。彼は、灼熱の砂漠をさまよい、コウモリを捕まえ生き血を飲んで渇きをしのぎ、果ては水が尽きた事に絶望し手首を切り自殺まで図ったが、脱水症状により血液濃度が濃くなりすぎて血が流れ出てこなかった。その後彼は遊牧民の一団に発見され救助された。Wikipediaより
迷子になって360度誰もいない。2回経験しました
どちらも独りで、周りを見渡しても誰もいないという素敵な経験です。
- 昼間の砂丘越えで迷子(動画)
- 夜の砂丘越えで迷子 > 360度光がまったくない世界を見た瞬間、もう終わったと思いました。そしてパニック。
昼の迷子はこんな感じ
道を間違えたと思ったら、
砂漠の景色はどれも同じに見えます。都会のようにビルや看板などのランドマークがありません。なので間違えたと思ったら自分の足跡を頼りに元来た道をもどりましょう。間違ってもショートカットしないように。余計に???になります。
下の写真は、夜の砂丘越えで迷子になった時のGPSログです。
360度光がまったくない世界を見た瞬間にパニックになり、青マークの辺りでようやく冷静になってコンパスなどを見返していると思われます。そして正規のコースに向かっていますがこれは偶然が重なっての結果です。確実をとるなら来た道を戻るべきでした。
僕は赤いマークのところで(予想)フランス人とたまたまで会いましたが、その瞬間も方向を180度勘違いしてました。運が良かった。ただそれだけです。
歩き方と姿勢
リタイヤした選手に多かったのが痛みで身体が動かなくなる。でした。
- 肩に食い込むリュックのベルト。
- 腰痛。
- ヒザ痛。
僕も途中意識を失いかけるまで追い込まれましたが、そこから僕は奇跡のV字回復してます。そもそも僕はマラソンはおろかランニングの経験も登山の経験もないど素人です。
ど素人の僕がサハラマラソンを完走できたのは姿勢の重要性に気がついたから
限界を超えひっくりかえりました。もうダメだと思いました。が・・・ぼんやりと砂漠の向こうに野生のラクダの姿が。ぼーっとしばらく眺めていたらある事に気がつきました。
ラクダって歩く時に頭がブレないね。
そこではたと気がつきました。猫背が原因だと。ちなみにラクダや象、大型の犬、一部の馬などの大型四つ足歩行の動物は「側対歩」で歩きます。「側対歩」とは前足と後ろ足が同時に前、後ろと動く歩き方です。この歩き方の利点は頭の上下動が少ないのです。
たとえば馬。武士が乗るような馬は合戦のために馬の上で弓矢を引く事もある。そのときに上下に揺れると狙いが定まらないために馬の歩きを「側対歩」に訓練したと言います。
猫背で歩くと顔は斜め下方向を向く。頭も斜め下方向に揺れる
頭が上下に揺れるとどうなるか? > 肩にかかるリュックの重さは頭が揺れるたびに加速度がかかり肩にのしかかる。> そのたびに腰にも負荷がかかる。
これが毎日40kmを歩き続けるとなると相当な負担が身体に蓄積されているはずです。さらに、猫背では関節の可動範囲は約30%も少なくなってしまいます。
猫背は死ぬ
前置きが長くなりましたが、とにかく猫背は猛烈に不利です。猫背は死ぬとマジで思いましたね。この顔の変化見りゃ嘘じゃない事が分かるでしょ。
帽子とリュックを紐で結んだ
無理やり背筋を立てた。紐の力で。大正解でした。これぜひやってみて!
背筋を立てて地面を踏みしめるようにして歩く。踏みしめたときに大地からの反力でヒザを持ち上げる要領です。これは大正解でした。
体力がぐんぐん回復。奇跡のV字回復じゃ〜〜〜
紐で結んで猫背を治し頭がブレないようにし、足元を踏みしめるようにして歩き続けた。
- 肩の痛み> なし
- 腰痛 > なし
- ヒザ > 20代の頃にバイクでこけた古傷が心配だったけれどこれも痛み、不具合ともになし!
人間が壊れるのは肉体、心、内臓の順番。
治るのも同じ順番です。僕もまったく同じ事が起こりました。最終ステージ、最後の40km。僕は完走を確信しましたね。絶対に行けると。